漫画「秘密-トップ・シークレット-」薪さん絶対至上主義的感想
清水玲子先生の「秘密」を読みました。
以下本編最終巻までの激しいネタバレを含む感想です。
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いやぁ、凄い作品。
設定が面白くてミステリーとして良くできているし、
絵もきれいで登場人物も魅力的。
凄いわほんと。
◎大統領暗殺事件◎
まず最初の大統領暗殺事件が圧巻。
これは本編の主人公達は誰も出てこないプロローグだけど一番印象
MRI捜査がどんなものかという説明がありつつ、
同性愛や近親相姦という、小説や漫画ではありふれたテーマだけど描き方が凄い。
ケビンの「それくらい愛している」はこの漫画屈指の名場面じゃないかな。
他人に覗かれるくらいなら一生会わ
ない、
ただ「見ている」だけのプラトニックな愛だけど、
旅行に行く、すぐに帰ってくると嘘をついて姿を消すラストも切ないなぁ。
大統領とか特別な存在じゃなくても誰にだって侵されたくない秘密はあるんだよね。
◎物語本編と薪さんについて◎
そして本編。近未来日本。
貝沼事件、めっちゃ怖かったです。
グロいのはある程度大丈夫なんだけどホラーが怖くて怖くて。
トイレの天井のところとかトラウマものじゃないですか?お風呂とかトイレとか、
序盤は大統領暗殺事件の余韻と薪さんの美しさだけど糧に読み進め
そう、薪さん。
萌えの塊と言っても過言ではない美しき警視正。
美形・天才・ツンデレという超絶ハイスペックエリート。
↑ふとイタKissの入江君を思い出した。好き。
名前が「剛」っていう違和感が最後まで消えなかった。
主人公はこの人だと思うんだけど、無口で秘密主義なので代わりに部下の青木の目線で話が進んでいきます。
薪さんモノローグですら無口だし。薪さん目線で話が進んでいったらと思うと今の何倍も暗い話になりそうですね。恐ろしい。
貝沼事件の話を読み終わったとき、
何の罪もない若者達が大勢殺されて、しかもそれが自分への「
一見クールなようで実は共感性が高すぎる薪さんは、
しかもその記憶がきっかけて自分の部下達が死に、精神を病み、
貝沼の思惑は大成功だった訳だけど、それが本当に哀しいです。
薪さんは序盤から割と情緒不安定で、
そんな危うさが薪さんの魅力のひとつでもあるんですがね。
でも雪子とのエレベーターのシーンで「ごめん・・・」
薪さん大好きなんだけど、「
なんでだろう・・・薪さんが私より軽くて華奢だから?(
どう考えても脈が無いから?(
この人は生への執着が無さ過ぎて死んでしまうんじゃないかと本気
頼むからもっと自分を大切にしてくれぇぇぇぇ!!!
天涯孤独、一番大切に思っていた相棒も死んでしまい、
あのシーンをみた時、「
結局薪さんも青木も死なず、
◎岡部について◎
岡部がいなかったら薪さんとっくにダメになってたよね。
第九、そしてこの漫画の良心岡部。
青木もまっすぐないいやつだけどまっすぐ過ぎて視野が狭くて危な
そういえば滝沢もそんな事言ってたっけ。「そのでかい男のフォローでお前は毎日安心して~」
あそこで「た、たのしそう?」って困惑する岡部がかわいくて好きです。
あと10巻で薪さんのモノローグで、
『部下(人)に対する深い思いやり その想像力 機転 勘のするどさ 場を読む力 岡部のもつ総ての美徳が 今はジャマになる』
これ、最高に好きです。この台詞だけで泣きそう。
◎滝沢について
滝沢なぁ・・・
物語的には「敵」であり「悪いやつ」
そりゃあんな任務を背負ってしまったらおかしくもなるかとも思ってしまうし。好きな子をいじめる小学生みたいにも見えてくるし。
むしろ薪さんと四六時中一緒にいて平然としているスーパーノーマ
でもあの上から目線と高圧的な物言いはやっぱり好きになれん。
滝沢が登場してから「こいつの目的は?何をやらかすのか?」
薪さんに引けをとらない頭脳があって、青木よりも誰よりも薪さんのことを理解していて、しかも心の奥底でどうしようもないほど惹かれているのに、お互いに銃を向けあうような関係性になってしまったところが哀しいですね。
「きれいなお花畑でカエルの死骸見ちゃったみたいな顏やめろ」って台詞は緊迫した場面なのにクスッときました。こういうところが憎めない。
◎雪子さんについて◎
最初の頃、雪子さんが「女・薪」とか言われてたけど、
私は雪子さんのことはあまり好きにはなれなかったんだけど「
◎ざっくり感想◎
大統領暗殺事件でグッと引き込まれて、貝沼事件や天地奈々子の事件で第九の闇に恐れおののき、絹子の話や誘拐事件でドキドキしながらミステリーを楽しみ、8巻の惨殺事件からはもう辛くて辛くて・・・そして12巻は最高でございました。
ここ何日かは12巻だけ何度も読み返してる。
◎私の好きなシーン◎薪さん祭りだよ!
・「いいえ だからまだ警視正なんです」7巻
↑大臣にも強気の薪さん!!惚れざるを得ない。
・「えらい!よくやった」
↑何巻だっけ?薪さんが部下を褒めて部下が呆然とするところ。上司が部下を褒めるときに「えらい!」って言います?
・岡部の美徳を語るシーン。
・「誰が甘いって?」
↑説明不要。美人がすごむと怖いんじゃ。
・8巻の飲み会のところ。
・8巻の薪さんの貴重な制服姿。
↑サービスショットありがとうございます。意外とノリノリで着てそうな薪さんかわいい。
・11巻で山本が薪さんについて第九メンバーに語るところ。
↑山本は何気にいい仕事してくれますね。薪さん絶対至上主義の第九の面々にド正論をぶつけるシーンは結構好きです。
・12巻全部
↑特に空港に向かう途中のベンチのシーン。青木を見上げる薪さんの顏が美しすぎて・・・!!!ああもう本当に生きていてくれて、警察を続けてくれてありがとうございます!!という気持ちでいっぱいです。あと最後の「おなかが減るように しあわせも感じるようになる」って・・・。良かったよ・・・本当に。
エピローグのちょっと明るくなった薪さんもとても素敵です。
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