水無月のつれづれ日記

アラサーOLの関心ごと

機能不全家族で育つということ 『酔うと化け物になる父がつらい』レビュー

 

 


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私のオアシス、三省堂書店で平積みされているのを見かけて気になっていた菊池真理子さんのコミックエッセイのレビューです。気になるな、読んでみようかなーと思っていたところ、kindle版がポイントがついて実質半額になっていたのでポチリ。紙の本が好きですが、なんだかんだ電子書籍って便利。引っ越しの時楽だし。
 
アルコール中毒の父、宗教にハマる母、妹(いい子なんだこの子が)の4人家族の話です。
 
【あらすじ】
お父さんは普段は無口でおとなしい人。真面目に仕事もしている。でもお酒を飲むと豹変し、ところ構わず大声でがなったり、時には飲酒運転で車を炎上させたり。でも翌日酔いが覚めると覚えていなくて同じことを繰り返す。酒と麻雀に溺れる父親に振り回される生活の中、主人公が中学2年生の時に母が自殺し家庭は崩壊。残され主人公の長い苦しみの日々は続いてく・・・。
全10話で構成されているんですが、ここまでが第1話。自殺する前のお母さんの行動にも、底知れぬ闇を感じます。
 
【感想】
淡々とした語り口ですが、非常にリアルです。
お父さんは元々お酒に弱かったのが、付き合いで飲むうちにお酒に飲まれるようになってしまったようです。こういう人、きっといっぱいいるんだろうな・・・。
いろんなエピソードが語られますが、私が一番ぞっとしたのは主人公の彼氏の話。お父さんのことを心から嫌悪しながら、お父さんと似た人に惹かれてしまう。現実から逃げるために恋愛に依存して、でもそっちはそっちで束縛と暴力の世界で全然幸せじゃない。
ちっとも大事ににされていなくて、それに心底傷ついているのに、傷ついていることにすら気づけなくて「普通だ」と思ってしまう。
 
全然、救いがない。
お父さん以上にこの男に嫌悪感を覚えます。深くは語られませんがこの男の家庭にも何かあるようです。
しかし恐ろしいことですがこういう恋愛をしている女の子、結構います。自己肯定感が低くて自分はこんなもんだと諦めて、無意識に自分で不幸な方を選んでどんどんどんどん落ちていってしまう。
腹をくくった女性は強いけど、そもそも思考停止していて「気づけない」ので自分ではそこに行きつけないんですよね。
 
彼氏とどうなったかはぜひ本を読んで確かめてください。
似たような恋愛に苦しんでいる人は特に。
機能不全家族に育った人は確かに不安定で、無意識のうちに歪みを抱えがちかもしれないけど、それでも必ず幸せになることはできると私は信じています。
 
主人公にとっての救いは妹の存在と、漫画という打ち込めるものがあったこと。
しんどいことだらけの人生でも、信頼できる人と打ち込めるものがあれば何とか生きていけます。たぶん。
 
【まとめ】
決して明るく楽しい話ではありませんが、読んで損はありません。
「家族とは」「普通とは」そんなことを考えさせられる一冊です。
ぜひ読んでみてください!
 

 

酔うと化け物になる父がつらい

酔うと化け物になる父がつらい